組織文化の重要性の啓蒙
9月に中堅製造業で実施した課長研修で良い質問を受けた。質問は組織文化の解釈に関する内容であった。組織文化とは組織で共有されている価値観のことである。共有されている価値観は組織の構成員による判断と行動の拠り所になる。判断と行動は業務遂行に直結して経営成果に反映される。そのため組織文化は重要であるが、一方で重要性が認識されているとは言い難い。
認識不足の理由には組織文化の特徴がある。組織の構成員にとって組織文化は当たり前であるために殆ど意識しない。このような無意識が重要性の認識不足に結びついている。課長などの管理職は組織文化の特徴と重要性を理解して、問題意識を持つ続けることが必要である。組織文化は時間の経過に伴い変化する可能性があり、好ましい変化と好ましくない変化の両方がある。管理職は好ましくない変化を回避すること、好ましい変化を起こすことが期待される。好ましい変化は経営成果を向上させる要因になる。
約20年前にルイス・ガースナーはIBMにCEOとして乗り込み、悪しき組織文化を一掃して経営危機を回避した。当事者の立場により対象組織の範囲が変わるが、組織の責任者は組織文化をより良い方向に変えることが期待される。こうした組織文化の重要性を少しでも多くの人に認識してもらうために、今後も継続的に啓蒙していきたい。