役割遂行のための権限委譲
昨年の研修で中期経営計画を取り上げた顧客企業は3月決算であるため、中期経営計画確定期限が迫っている。年明けの経営会議において複数の事業部で中期経営計画を一部変更する必要性が共通認識され、3年後に実現すべき姿をより明確にすることが要請された。この顧客企業では事業部単位の中期経営計画の立案は事業部長の役割である。そして中期経営計画の確定には、経営会議で社長が承認することが必要である。
経営会議で社長が承認しなかった理由は、売上を中心とした経営目標が1年目の目標を基礎とした積み上げになっていて、結果として実現すべき姿が曖昧になっていたためである。経営目標が積み上げになっていたことから中期経営計画と今年4月以降の単年度予算が切り分けられていない状態に陥っていた。事業部長が本来、期待されている役割を果たすには中期経営計画の立案を優先すべきであり、そのためには年度予算の策定を営業部長に任せること、つまり権限委譲が期待される。
役割遂行の準備として権限委譲が必要である。そして権限委譲が可能なように事業部長が日頃から営業部長を育成することが期待される。この顧客企業では、今回の中期経営計画の立案を教訓に、事業部長による営業部長への権限委譲を積極的に進めていけるにように支援していきたい。