マインドストレッチングによるキャリア開発
新型感染症との共存が避けられない状況において、ある企業の経営者から今後のキャリア開発のあり方についての質問を受けた。質問の前提は、新型感染症問題は根本的な解決が困難であるために、社会のあり方や事業の進め方が大きく変わる可能性が高いことである。この変化を前提とした場合、当然の事ながら個人にとってのキャリア開発のあり方も変化せざるをえない。
この経営者の質問に対して「マインドストレッチング」というキーワードを使って回答した。回答の趣旨は、様々な事態に柔軟に対応できるような幅の広さが求められるということである。この幅の広さを表すキーワードが「マインドストレッチング」である。
「マインドストレッチング」はマーケティングの大家フィリップ・コトラーが著書「コトラーマーケティングの未来と日本」で紹介している言葉である。コトラーによると、環境変化に対してビジネスパーソンとして能力を発揮するためには、自分の専門分野以外の文献を読むことなどで知性の幅を広げることが必要であり、こうした取り組みを「マインドストレッチング」と呼んでいる。従ってマーケティングの事しか考えないマーケターはマーケティングを効果的に進めることができないとも説明している。
先の経営者からの質問に対しては「マインドストレッチングによるキャリア開発」が必要不可欠であるという回答を行った。具体的にはビジネスパーソンとしてのキャリア開発では、自らが担当しているビジネス分野のみならず歴史やスポーツなどの異なる分野の文献を読むことなどに時間を費やすことが期待される。