大局観に基づく打開策の必要性
8月中旬になり上場企業の来年3月期の業績予想の開示が広がっている。日本経済新聞によると増収増益が159社、増収減益が119社、減収増益が122社、減収減益が533社である。気になるのは日本経済新聞が金融危機があった2009年3月期の落ち込みと比較していること、具体的には大局観が欠如していることである。コロナ禍が企業業績の落ち込みに大きな影響を与えているが、大局観を基づき打開策を打ち出すべきである。一部のクライアントに対しては大局観に基づき打開策を打ち出すことを示唆している。
大局観を持つには長期的な視点と広い視野が必要である。20世紀最大の事件は75年前に終了した第二次世界大戦であり、現在のコロナ禍は21世紀最大の事件になる可能性がある。このような長期的な視点から経済アナリストの森永卓郎は打開策として、国民1人当たり月7万円のベーシックインカム導入を提言している。さらに、財源捻出の具体策として日銀による国債引き受け増加を主張している。金額における目安として、第二次世界大戦中の実績を引き合いに出している。
企業における打開策の実例にジョブ型雇用の本格導入がある。広い視野からグローバルでの競争を意識している日立は、既に。ジョブ型雇用の本格導入を公表している。さらに富士通やKDDIなどもジョブ型雇用の本格導入を表明しており、KDDIは来春入社してくる新卒社員にもジョブ型雇用を採用する。
ジョブ型雇用を本格的に導入することで1人1人の業務成果と課題を適切に把握すること、成果を高めるために課題を解決していこうとする1人1人のプロ意識を高めることが期待される。日本のビジネスパーソンのプロ意識を高めることは、グローバルな競争環境を勝ち上がっていくことに貢献するはずである。現在のコロナ禍の環境下において、少しでも多くの企業に大局観に基づく打開策を打ち出してもらいたいものである。