デジタルトランスフォーメーションに対する期待と課題
デジタルトランスフォーメーション(以下、DXと略記)に対する期待が高まっているため、DXについて質問を受けることが増えている。DXに対する期待が高まっている理由の1つに菅新政権が打ち出したデジタル庁構想である。DXは、もともと2004年にスウェーデンにあるウメオ大学のストルターマン教授が使い始めた言葉であり、ITを浸透させることで人々の生活を様々な面で望ましい方向に変化させることを意味している。DXという言葉が使われ始めた頃から、従来はCIO(情報担当取締役)と言われていた役割がCDO(デジタル担当取締役)と呼ばれるようになった。
CDOが中心となって取り組みべき企業経営にとってのDXは「ITを活用しての経営改革」と捉えることができる。
経営改革を推進する上では取り組み効果を高めることが重要である。そのためには改革の効果を測定する指標を選定することが必要である。例えば製造業の場合ではあれば新商品売上高などが指標の候補になる。
そして改革の対象は「プロダクト(商品やサービスなどの顧客に提供する価値)」、「プロセス(業務の内容と進め方)」、「マインド(意識)」の3つで捉えることができる。
「ITを活用しての経営改革」であるDXにおける課題は改革の対象を明確にすること、そして適切な指標を選定して経営成果の向上に結びつけることである。