不透明な環境に対応する方法
緊急事態宣言が延長になって不透明な経営環境が続くことが予想される。経営者や部長クラスの上級管理職から環境に対応する方法に関する質問が増えている。不透明な環境は、最近、ブーカ(VUCA)と呼ばれることが多い。ブーカという言葉は2016年のダボス会議から使われ始め、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略であり、正確な予測が難しいことを表している。
元来、ブーカは軍事用語であり、予測が困難な環境に対処するにはウーダループを適用することが基本となる。ウーダループも軍事用語であり、Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字の対応を行うことを意味している。
ウーダループは通常の業務におけるマネジメントサイクルであるPDCAにおける実行(Do)に該当する行動(Act)の前段階が計画ではなく、観察から意思決定であることが特徴である。不透明な環境においては、昨今、重視されつつあるデジタル化の前提になるような活用可能なデータが存在しない。目の前に起きている現象を直感を働かせながら判断して、行動に結びつくような意思決定が求められる。
観察から意思決定の役割を担うべき経営者や上級管理職には左脳よりも右脳を使うことが期待される。結果的にスタッフによるデータ分析などに頼ることなく、リーダーシップを発揮する機会が訪れていると受けとめるべきである。