成長のきっかけ
4月は組織体制の変更や人事異動が多い時期である。新卒を採用する企業では新入社員が入社してくる。新しい組織体制、新しい人員構成で業務を遂行することになり、新しい環境で成長するための機会を設定しやすくなる。組織のメンバー1人1人にとっては成長するためのきっかけをつくりやすくなる。
自動的に成長できる訳ではなく、本人の意欲を高めることが必要である。行動科学の知見では成長の過程を段階的に捉える。能力と意欲の両方が不十分な状況から、まず意欲が高まる。意欲の高まりは質問してくるといった積極性で確認される。次に能力が向上する。しかし能力が向上する過程で成果を獲得することへのストレスや不安を感じることから意欲が停滞する。意欲の停滞から立ち直ると成長は本物になる。
このように一般的には能力の向上よりも意欲の向上が先行するため、意欲を高めることが重要である。新しい組織体制、新しい人員構成で業務を遂行することは、意欲を高めるためのきっかけになりやすい。
しかし、それ以上に重要なのは、どのような業務を担当するかである。そのため各組織を管轄する管理職の力量が問われる。管理職が組織全体を見渡して、1人1人のメンバーの意欲を高めることができるような担当業務分担を決めることが必要不可欠である。組織単位の担当業務分担は、チームスポーツにおけるポジション決めに相当する重要性を持っている。より具体的には野球における打順であり、投手における先発と救援の役割決めである。スポーツにおけるポジジョン決めが勝敗に直結するように、管理職による担当業務分担の決定は各組織の生産性などの業績を結びつく。メンバーの成長と業績向上が両立できるような適切な担当業務分担が期待される。