中期経営計画達成の条件
中期経営計画を立案し内容を発表している株式公開企業は多い。しかし計画の達成を通じてIRにおける評価を高めている企業は少数派に過ぎない。中期経営計画が達成できない理由には定常業務に追われ、中期経営計画に必要な改革が進まないことがある。この現象を業務における「グレシャムの法則」と呼ぶことがある。「グレシャムの法則」とは「悪貨が良貨を駆逐する」と言われている。業務における「グレシャムの法則」とは定常業務が優先される結果、改革が後回しにされることである。
定常業務と中期経営計画に必要な改革を両立してこそ中期経営計画が達成できる。そのためにはプロジェクトマネジメントオフィス機能(以下、PMO機能と略記)を構築することが必要である。改革のテーマ1つ1つをプロジェクトとして立ち上げて、取り組むべきであり、複数のプロジェクトを円滑に同時並行的に展開するためにはPMO機能が必要であり、中期経営計画達成の条件となる。
PMO機能は経営企画部門が中心に構築することが多い。PMO機能の構築における定石に委員会の設置がある。取締役以上の役職者にプロジェクトの委員長を担ってもらい、委員長のリーダーシップに基づきプロジェクトを推進することが期待される。PMO機能を構築で、各プロジェクトを束ねる全体委員会の設置が必要である。そして全体委員会の責任者に社長が就いてこそ、改革を実現して中期経営計画が達成できる。
全体委員会の設置を含めてPMO機能を構築するには、実証済みのノウハウを保有する外部専門家による支援が期待される。実証済みのノウハウはプロジェクト推進上の阻害要因を回避するために必要不可欠である。プロジェクト推進上の阻害要因には変質(途中での目的変更)、未完了(途中での継続断念)、迷走(対象範囲などの度重なる変更)、準備不足(必要な人員を確保しないでの推進)がある。こうした阻害要因を回避して中期経営計画を達成するには、外部専門家と二人三脚でPMO機能を構築することが期待される。