自己管理の前提
東京五輪の強行開催をきっかけに感染症が増加しており、企業や自治体はテレワークを常態とすべき状況にある。アメリカのガートナー社による「テレワークでの生産性変化に関する調査」によると日本の生産性は9カ国中、最下位である。首位のインドがテレワークによって生産性が上がったという回答が40%以上であるのに対して、日本は20%未満と最も少ない。一方、日本においてテレワークによって生産性が下がったという回答は約40%と最も多い。この調査から日本企業において自己管理ができない従業員の多さが浮き彫りになっている。
自己管理ができない従業員が多いことは本人の自覚に問題があるが、経営者にも責任がある。例えば社員に対してはオンラインによるコミュニケーションの質が低下しないように指示しておきながら、オンラインでの自分自身のコミュニケーションの質を高めようとしない経営者、自宅に小さい子供がいるなどの環境の悪さを主張する社員に理解を示す経営者などは環境変化に対応できていないこと、さらに言い訳を是認していることになる。こうした経営者の意識こそ、自己管理できない社員を許す温床である。社員に自己管理を促すためには、前提として経営者の意識改革から始めるべきである。