デジタル変革に必要な協力関係
9月のデジタル庁立ち上げもあり、デジタル変革(トランスフォーメーション)に対する高い関心が続いている。デジタル変革(以下DXと略記)とはデジタル技術を活用した企業変革のことであり、多くの場合、IT業界の企業の協力が必要になる。その理由は日本国内のシステムエンジニアは70%以上がIT業界に所属しているため、他業界の企業や自治体が独力でDXを完結させることが難しいためである。
こうした背景を踏まえて今月(2021年8月)、延べ3日間、参加者約70名で実施したDX準備研修ではIT業界の企業との良好な関係の築き方に多くの時間を費やした。良好な関係を築くための出発点は、情報システムの導入や更新において、適切な協力先を選定することにある。適切な協力先を選定するにはRFP(提案依頼書)やシステム開発における進捗検討が重要であるが、その前提としてIT業界の実態に関する理解が必要である。
足掛け8年間、IT業界に所属していた実績を踏まえIT業界の実態について、実例を交えて説明したところ、研修参加者から多くの質問をもらえた。そして質問内容を通じて、IT業界の企業と良好な協力関係を築くことの難しさを再確認することができた。
良好な協力関係を築くためには、プロダクトアウトの傾向が強いIT業界の企業の主張を丸呑みすることは禁物である。協力を依頼する側の企業や自治体が主体性を持ち、納得できるように意思疎通を図ることが必要不可欠である。